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空想作家と専属イラストレーター&猫7匹の                 愛妻家の食卓

空想作家と専属イラストレーター&猫7匹の     愛妻家の食卓

『猫のヤナギ』


『猫のヤナギ』


『出会い』


俺は不思議な体験をした。それはヤナギと呼ばれる猫との出会い・・・猫のヤナギは幽霊だった・・・


いつも俺が仕事の行き帰りで通る川沿いの道がある。

その道は川沿いに柳の木が並び、車道を挟んで沢山の店が並ぶ俺のお気に入りの道だった。

中でも途中にある〔たこ焼き屋さん〕は1番のお気に入り。仕事帰りにはほとんどといっていいほど寄っている。

〔リョウちゃん、お帰り!今日はやけに早いんやね、会社でもつぶれたかい〕

「おばちゃん・・・冗談がきついわ(笑)ただ今日から直帰できるようになっただけや」

〔なんやチョッキって?この暑いのに〕

「(笑)直帰って会社に寄らんでも現場から直接帰れるってことやんか」

〔それなら始めからそう言いや、ほらっできたで〕

おばちゃんはできたてのたこ焼きをいつものように包もうとした。

「今日は包まんでもええで、早いからここで食べて行くわ」

店の前には3人ほど座れるベンチが1つあった。

「おばちゃんのたこ焼き毎日食べとってもほんま飽きへんわ」

〔ありがとう、リョウちゃんがそう言ってくれるから私も頑張れるんやで〕

「ばあちゃんになっても続けてや、それより気になってたんやけどさっきから手に何持ってんの?」

〔これかぁ、知らんの?これはハエ叩きや、網んとこに電気流れんねんで・・・ほらっ、丁度おったわ〕

バチッ!!

「ホンマや!でも、怖いわ。ハエだけにしときや(笑)」

〔当たり前やないの(笑)〕

そうして、ゆっくりたこ焼きを食べていると、道の向こう、柳の下にちょこんと座っている三毛猫が見えた。この辺りでは見かけない猫だった。俺は昔から猫が好きだったのでこの辺りの猫なら知っている、だから気になっておばちゃんに聞いてみた。

「おばちゃん、あの柳の下におる猫、この辺りの猫?」

すると、おばちゃんはビックリした様子で言った。

〔アホ、冗談きついわ!・・・っていうか何でリョウちゃんが知ってんの?〕

どうして驚いたのかさっぱり分からなかった。

「何であの猫のこと聞いただけでそんな驚くん?」

〔冗談やないの?〕

「うん。どないしたん?」

〔見えるっていったのこれで2人目やわ・・・〕

おばちゃんは本気で驚いているようだった。

「何て?あの猫、ほんまにおばちゃんには見えへんの?」

〔見えるかいな!ほんまに見えるんやったらリョウちゃん、それ幽霊やで〕

「!・・・またぁーおばちゃん、そんな子供だましな冗談言わんといてや」

〔冗談やないって。ほらっ見てみ、誰がその猫に気がついてる?〕

「そういえば・・・」

向こう側の道を歩く誰もが猫の存在がないように見ることもしていなかった。

「どういうことや・・・」

すると、おばちゃんは静かに語りだした・・・

〔リョウちゃんが見えている猫はきっとヤナギやね・・・リョウちゃんがこの町に引越ししてきた2年ほど前、あの木の下にいつも居た子猫がおってん・・・元々どこから来たんか知らんけど、人なつっこくて、私もちょくちょくたこ焼きをあげていたよ・・・それがねぇある日、車にひかれてしまったんや・・・この通りのアイドルになっとたのに・・・〕

「じゃあ、俺はほんまにその猫の幽霊を見てるってこと?」

〔たぶん・・・〕

俺は少し怖くなって目をそむけた。

それから、次の日もその次の日も俺にはそのヤナギという猫が見えた。いつもちょこんと座ってきょとんと俺を見つめている。俺は幽霊だと理解したにもかかわらず、その可愛さに心を奪われていった。そして・・・

〔今日も見えるかい?〕

「うん、俺ちょっと行ってくるわ」

〔行ってくるってあんた・・・〕

俺は思い切ってそのヤナギに近づいた。すると、ヤナギは俺の脚にすり寄って

(にゃ~)

と甘えた声でないた。

「驚いた・・・声まで聞こえる・・・ほんまにお前は幽霊なんか?」

(にゃ~)

俺はヤナギの頭を撫ぜた。

「冷たい・・・でも、触れる・・・」

どこからどう見ても普通の可愛い猫だった。俺はまたたこ焼き屋に戻っておばちゃんにもう1度聞いてみた。

「おばちゃん!ほんまに、ほんまに見えへんの?」

〔やめてぇや、見えるわけないやろ・・・あんたが霊感とか強いんちゃうん〕

「俺にそんなもんないって・・・」

すると、丁度小学生の女の子2人がたこ焼きを買いにきた。俺は思わずその子供たちにも聞いた。

「ねぇ、向こう側にいる可愛い猫が見える?」

〈猫?猫なんておらんやん〉

と、俺を変な目で見た・・・俺はまた道を渡ってヤナギの所へ戻った。

「お前、幽霊やねんて」

(にゃ~)

「ここに居ても誰もかまってくれへんで」

(にゃ~)

「・・・何でずっとここにおんねん・・・」

俺は後先考えずに言ってしまった。

「俺と一緒に来るか?ペットは飼ったらあかんアパートやけど幽霊のお前やったら見つかる問題ないし、そんな毎日寂しそうにそこに居るの見てられへんわ・・・」

(にゃ~)

「よっしゃ、付いてこい」

そうして俺と幽霊猫のヤナギとの不思議な生活が始まった・・・。


               とりあえず終わり。へへへぇ・・・



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